第六回フォーラム「アートと人権:アートは人や社会とどのように関わるのか?」

表現者にとって、「個人の尊重」「思想・良心の自由」「表現の自由」などの人権が保障されていることは必要不可欠である。

人権とは、「人間であればどんな社会的・政治的属性をもとうとも誰もが享有可能で、実定的な法や政治制度によって侵害されえない特異な権利である。内容的には、精神的・経済的な自由、身体の自由などによって構成される自由権のみならず、基本的な社会的生活を営むにあたって必要と考えられる条件の充足を求める社会権が含まれることが多い」とされる(『現代社会学事典』p687)。日本国憲法においても、第13条で「個人を尊重する」ことを憲法の理念とし、第11条や第97条で「基本的人権は侵すことのできない永久の権利」として保障している。しかし、具体的な人々の営みをみていくと、人権が必ずしも遵守されているとは言いがたい。さらに、7月10日に行われる参議院選挙においても、改憲は争点のひとつとなっており、人権関連項目は改正案に含まれ、さまざまな議論を引き起こしている。

アートにおいて、人権に関連する問題に関心を持っているアーティストやキュレーターも少なくない。たとえば、戦争、エイズ、ハンセン病、女性、障がい者、LGBTQ、移民/難民、原発、日米関係など。その一方、アーティストやキュレーターが、社会的に弱い立場の人を利用し、人権を犯したために批判されることもある。特に、関わる人々がアートの媒体や素材の中心的要素になる場合、それぞれの人権が問題になりやすい。

アートは、アーティストだけの営為ではなく、作品の出演者や参加者、キュレーター、批評家、ギャラリスト、コレクター、美術館のスタッフ、ボランティア、鑑賞者など、さまざまな主体による集団的営為であるので、どのような主体が、どのような判断をし、どのような責任があるか。その正当性はどのように確保できるのか。改めて考え、議論をおこなう機会をつくるべきだろう。

第六回フォーラム「アートと人権:アートは人や社会とどのように関わるのか?」では、弁護士、社会学者、アーティスト、キュレーターなど、さまざまな分野の専門家、実践者の方々をお招きし議論をおこなう。これらの方々はそれぞれの実践のなかで人権をめぐる具体的な問題と関わり思考を重ねてこられており、興味深い議論が期待できる。


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第六回フォーラム
アートと人権:アートは人や社会とどのように関わるのか?
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日時:2016年7月17日(日)13:00〜17:00 ※開場は12:30
場所:東京大学本郷キャンパス構内(参加申込をいただいた方にはメールにて詳細をお伝えします)
定員:115人

<参加申込>
https://goo.gl/CLFRsS
※参加申込は前日までにお願いします(定員になり次第、受付を終了します)

【 登壇者 】
須田洋平(弁護士)
山田創平(社会学)
小泉明郎(アーティスト)
遠藤水城(キュレーター)

【 司会・進行 】
井上文雄(CAMP、社会の芸術フォーラム)
竹田恵子(文化研究、社会の芸術フォーラム)